[2235]
権威の行使者は、これを奉仕として行使すべきです。「あなたがたの間で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり〔なさい〕」(マタイ20∙26)。権威の行使にあたっては、権威の起源は神にあること、権威は合理的に行使されるべきこと、権威の及ぶ範囲は決められていることなどといった、倫理的な制約が伴うことになります。だれであれ、人間の尊厳や自然法に反することを命じたり制定したりすることはゆるされません。
[2236]
権威の行使にあたっては、万人の自由や責任の行使が容易になるために、正しい価値体系を明らかにするよう心掛ける必要があります。為政者は各自の必要や寄与などのことを考慮し、融和と平和を図りながら、英知をもって配分的正義を実行すべきです。自分たちの決定によって個人の利益と社会全体の利益とが対立を引き起こす方向へ傾くことのないよう留意すべきですヨハネ・パウロ2世『新しい課題』25(loc. cit., 823)参照。。
[2237]
政府には基本的人権を尊重する義務があります。一人ひとりの、とくに家族や恵まれない人々の権利を尊重して、人間味あふれた公正さを図るべきです。
国民が持っている政治的権利は共通善の要求に基づいて行使することができるし、行使されなければなりません。合法的で適切な動機もないのに、政府によってその行使を停止させられるようなことがあってはなりません。政治的権利は、国家ならびに人類共同体の共通善のために行使されるべきものなのです。