[2437]
国際的関係においては、資源や経済手段の不平等が国々の間に深い「溝」を生じさせるほどになっていますヨハネ・パウロ2世『真の開発とは』14(loc. cit., 526-528)参照。。一方には成長の手段を所有し発展させている国々があるかと思えば、他方には負債を増大する国々があるのです。
[2438]
宗教的・政治的・経済的・金融的なさまざまな原因によって、今日、「社会問題が世界的広がりを獲得するに至っています」同9(loc. cit., 520-521)。。国々は政治の面ですでに依存し合ってはいますが、国際間の連帯が必要なのです。発展途上国の発展を妨げる「あくらつな機構」を阻止しなければならないようなときには、連帯はよりいっそう不可欠なのです同17,45(loc, cit., 532-533;577-578)参照。。高利貸しとまではいわないにしても不当な金融制度ヨハネ・パウロ2世『新しい課題』35 (loc. cit., 836-838)参照。、国家間の不公平きわまる商取引関係、軍備拡張競争に代わって、「諸価値の優先順位や序列を見直して」同28(loc. cit., 828)。倫理的・文化的・経済的発展を目標にして資源を集中させる共同の努力が必要です。
[2439]
豊かな国々は、自らでは発展の手段を手に入れることができなかったり悲劇的な歴史的出来事によってそれが妨げられてきた国々に対する重大な倫理的責任を持っています。それは連帯と愛の義務です。また、豊かな国々の繁栄が不当に安価に購入された資源をもとに築かれているような場合には、それは正義の義務でもあります。
[2440]
直接援助は、天災や疫病などによって生じた臨時の緊急な必要に適切にこたえるものです。しかし、それだけでは貧しい情況にあるから抱えざるをえなくなる莫大な損害を埋め合わせるためにも、必需を持続的に補うためにも十分だとはいえません。さらに、国際的な経済・金融制度を改革して、発展途上国との公正な関係を促進させるようにはからわなければなりませんヨハネ・パウロ2世『真の開発とは』16 (loc. cit., 531)参照。。自国の発展と解放のために行っている貧しい国々の努力を支える必要がありますヨハネ・パウロ2世『新しい課題』26 (loc. cit., 824-826)参照。。以上の教えをとくに農業の分野に当てはめなければなりません。農民、とくに第三世界の大多数の農民が、貧者の大半を占めているのです。
[2441]
神の感覚と自己認識とを増大させることは、人間社会の健全な発展全体の土台となるものです。この発展は物的財を増加させ、それを人間およびその自由のために役立たせ、貧困や経済的搾取を減らすものであり、さらに、それぞれの文化の独自性をますます尊重するように導き、超越するものを受け入れるように心を開かせるものなのですヨハネ・パウロ2世『真の開発とは』32 (loc. cit., 556-557)、同『新しい課題』51 (loc. cit., 856-857)参照。。
[2442]
政治体制の構築や社会生活の組織づくりに直接に介入することは、教会の司牧者の任務ではありません。この任務は信徒の召命の分野であり、信徒は他の一般市民と力を合わせながら自らの発意でそれを果たさなければなりません。社会活動には具体的にはさまざまな形がありえますが、どんな形のものであっても、それはつねに共通善を目指し、福音と教会の教えに従って行われなければなりません。「キリスト教的関心に基づいてこの世の現実に活力を吹き込むのは、信徒の役割です。そしてそのことによって信徒は、平和と正義の証人となり、担い手となるのです」ヨハネ・パウロ2世『真の開発とは』47 (loc. cit., 582),同42(loc. cit., 572-574)参照。。