[2488]
真実の伝達に関する権利というものは、無条件のものではありません。一人ひとりの人間がその生活を福音の兄弟愛のおきてにかなうものにしなければならないからです。だから、具体的な状況において、真実を求める人にそれを明かすのが適当であるか否かをこの兄弟愛のおきてに基づいて判断しなければなりません。
[2489]
情報あるいは伝達を求める人の願いに応じるか否かは、愛と真理への尊敬とをもって決定する必要があります。他人の善益や安全、プライバシーの尊重、共通善などのためであれば、知られてはならないことを伝えなかったり控え目に話したりしても差し支えありません。つまずきを避ける義務があるので、秘密を厳守することがしばしば必要になります。知る権利を持たない者に真実を明かす義務はだれにもありません241。
[2490]
ゆるしの秘跡の秘密は神聖なものであり、いかなる口実をもっても漏らされてはなりません。「秘跡上の秘密は不可侵です。したがって、聴罪司祭は、ことばまたは他のいかなる方法をもってしても、またいかなる理由に基づいてもゆるしの秘跡を受ける者を決して裏切ってはなりません」242。
[2491]
政治家や、軍人、医者、法律家などのような特殊な職業に携わっている人たちに求められる職業上の秘密、あるいはだれにも口外しないという条件でなされた内輪話の秘密などは守らなければなりません。ただし、秘密を守れば、それを打ち明けた人やそれを聞いた人、あるいは第三者にきわめて重大な損害を与えることになるし、真実を公表することだけがその損害を回避できる唯一の方法であるような特別な場合には、例外となります。秘密を守るという条件で打ち明けられたものではなくても、他人に損害をかけるおそれのある私的な情報は、重大でそれ相応の理由がない限り公表してはなりません。
[2492]
一人ひとりの人間が他人のプライバシーを尊重するよう心掛けるべきです。マスコミの責任者は共通善のために行うべきことと個人の権利を尊重するということとを念頭に置きながら、その双方の間の公平な均衡を守るべきです。政治的あるいは公的活動に従事する人々の私生活へのメディアの介入は、そのプライバシーや自由にまで踏み込むようなものであれば、不当とみなすべきです。